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技術と表現と

『技術と表現』をメインテーマに据えながら、自分の興味あることを日々綴っていきます

VR映画?VRドラマ?VR劇? 思うところを述べる②

VR劇シリーズ VR映画シリーズ 動画 感想 演劇

さて、今日はVR映画シリーズ第二段(3回目)です。
次の動画をテーマに語っていきたいと思います。

360度映像『Pearl』

www.youtube.com

個人的には、360度映像を色々見てきた中で、一番好きと言ってもいい作品です。
まぁ、一番大きな要素としては音楽というのがあるとは思いますが。

では、どこら辺に惹かれたのか、というのを少しずつ掘り下げていきましょう。

人物との距離感

前回の記事で、『HELP』はそこまで好きになりきれない、という話をしました。
そして、その理由として、カメラから人物までの距離が遠い(顔がよく見えない)というのを挙げました。

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この『Pearl』という作品は、その点に関してはとても良い具合になっています。
ちょうどいい距離感なのです。

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顔に注視すれば、顔をよく見ることができ、
それ以外のところを見ようとすれば見れる。

これは、演劇的鑑賞方法をとりながらにして、映像として見せるべきところをちゃんと見せている、とても良い例と言えるでしょう。

視点が変わらないことによって、シーン転換(時間経過)がうまくごまかせている

360度映像というのは、没入感が強い分、シーン転換でのカットというのが結構難しかったりします。
いきなり別の空間に飛んでしまっては、視聴者に混乱を起こしてしまう危険性が高いからです。

しかし、時間経過を進めないことにはストーリーがしっかり進んでくれないという問題もあるわけです。
『HELP』の時は、視聴する人のいる現実世界の時間経過と、映像内の時間経過が同じです。
『HELP』はカメラワークがしっかりしている分、飽きはしないのですが、

例えば、

www.youtube.com

こういったアニメーションでも、やはり時間経過が現実世界と一致するわけです。
こうなると、伝えられる情報というのが少なくなってしまいます。

映画やドラマ、アニメーションで、時間経過を早くするのはとても一般的ですし、
全部を見せなくても、視聴者の想像に委ねるというのが、想像させるトリガーとして機能する分、良い面もあるのです。

これを『Pearl』ではうまく実現できているのが、いい点だと言えるでしょう。

視点固定の際、ストーリー進行上のメインの方向とサブの方向を分けてある

360度映像というのは、視聴者はどこでも見ることが可能、というのが一つの売りなわけですが、
一方で、ストーリーの進行上、視聴者に知っておいて欲しい情報があるのに、それを見逃されてしまうリスクがあります。
この点は、かねてからスピルバーグ監督を筆頭に、懸念点の一つとして取り上げられてきました。

japanese.engadget.com

しかし、『Pearl』においては、この問題がやや解決されているように思えます。
というのも、基本的にストーリー進行は、車の中の左半分の方向を向いていれば理解ができる設計になっているからです。
車の右側、つまり視聴者にとって基本的に背面になる側では、
ストーリー進行上、重要ではないシーンが続いてくれるため、あまり気にせずに見ることができます。

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もちろん、これをやりすぎてしまうと、360度で見る価値がなくなってしまうのですが、
ほとんど見なくていい角度をある程度決めておくことによって、視聴者に楽に見てもらう工夫をするというのは、
360度映像において、とても大事になってくると思われます。

そして、その実現方法として、『Pearl』のように、物理的にあまりものが見えない環境を用意するというのが、
一つ有効な手段なのではないでしょうか。