技術と表現と

『技術と表現』をメインテーマに据えながら、自分の興味あることを日々綴っていきます

2分で読める『革命のファンファーレ』(キングコング西野亮廣)

話題になってますよね、この本。 かくいう僕も何やかんや本の予約はしてたので、販売から1日後くらいに家に届きました。 本全体1時間くらいで読めた気がします。

ただまぁ、だいたい、動画で今まで見て聞いてきた内容といえばそう言えるものでした。 (でもまぁこれまで動画見た量も相当あるし、オンラインサロンも色々勉強がてら入ってますし)

その中で、僕にとって初見の内容もちょっとありました。 でも、手元に持っといてもしょうがないな感は少し強かったですね。 単行本で買ってしまったわけですが、Kindleで買うべきだった気がします笑

そんなこんなで、ここで書くか悩んでたのですが、

本の感想にも賞味期限がある

のです。

だから、必要な情報だけメモして置こうと思いました。 僕にとっての備忘録です。

多分、この記事は2分で読めるし、それで本の概要掴めるんじゃないですかね!!

基本情報

  • タイトル: 革命のファンファーレ 現代のお金と広告
  • 著者: 西野 亮廣
  • 出版社: 幻冬舎
  • 紙の本の長さ: 310 ページ
  • 発売日: 2017/10/04
  • 僕が読むのにかかった時間: 1時間

この本、「はじめに」の部分が全文無料公開されています。 もうおなじみの感じにはなってきましたが。

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概要

ざっくりと書くと以下の感じ。

その中で2つが特に気になったので、それについてはあとで詳述します。

  • 作り方から作るの話
  • 分業制の話
  • お金=信用を数値化したもの
  • クラファンは信用をお金化するための装置
  • 入り口でお金を取るな。マネタイズのタイミングを後ろにずらして、可能性を増やせ
  • クラファンの支援者数を増やすために、リターンは別々にする(すると、それぞれを全て買うとそれが支援者数になる。水増し)
  • 音楽で広告を作る(プペル)
  • アンチ is cute
  • amazonはあまり売れてない商品も並べておくことができる。無限。物理制約なし。ロングテール
  • テレビも無料公開みたいなもんやん。アニメも結局興行あげるのはグッズ販売とかで、アニメ自体は入り口やん
  • インターネットはコピー可能だから、一人の労力で、一つ作ればそれを無限の人に渡せる。10人のうち1人が金出せばいい、というのの10人の部分を無限に増やせる
  • ネタバレを恐れるな。人が行動する時というのは確認作業の時
  • 1億人が使っているというのは価値になる。著作権は必ずしも必要ない
  • 作り手を増やす話。耳タコ
  • 広告させることが大事
  • 情報解禁システムはくそ
  • お客さんはお金を出すきっかけがないと出さないし、きっかけがあると意外と出してくれたりする
  • 本屋で売る本は、ほんの力で売れる必要が基本的にはある

入り口でお金を取るな。マネタイズのタイミングを後ろにずらして、可能性を増やせ

僕的には、これが結構芯食ってた感じがします。

  • 売れている作品が更に売れる理由の一つは、売れている作品がニュースにしやすい数字を持っているから(興行いくらとかもそうだろう)
  • 今自分の信用がどれくらいで、今月は後どれくらいの信用を使えるか、という信用のペース配分を考える

独演会の話

  • めっちゃ作り込む。
  • 普通5000-6000円のチケット代で元を取るような内容
  • それを2000円でやってしまう
  • お客さんの値段感覚は極めて正確
  • 本来2000円では体験でいない、ということをお客さんはわかる
  • だから、独演会の赤字があっても、その後クラファンを仕掛けて、一気にやればその赤字も回収できる
  • 絵本の方がスケーラビリティがある
  • 独演会にはスケーラビリティがない
  • これを利用して、スケーラビリティがないところで信用をとり、その信用を使ってスケールさせたいときの着火剤として人々を巻き込み(利用し)本当に起こしたいムーブメントを起こす
  • 一回でやるより、こっちの手口の方が「支援者数」は増える
  • それが数字を持つようになり、ニュースになり、というループへ
  • 「どのように数字を配置すれば、自分の数字を更に増やすことができるのか?」
  • 「今あるマネタイズのポイントは、自分の目的に対して最適化されているか?」

特に、スケーラビリティのないところで信用を稼いで、その信用をスケーラビリティのある仕組みのところの着火剤として使う話はかなりしっくりきましたね。

これは、やばい。使いたい。

ネタバレを恐れるな。人が行動する時というのは確認作業の時

これも結構気になりました。

  • ネタバレしてるものにしか皆興味を示さない
  • 行列が行列を産むとか
  • 独演会を無料にしても、よく年は倍増

さいごに

サクッと読めます。 情報として持ちたいならKindleがおすすめ。 単行本で一応読みたい人は、読んだあとそれを他の人に売ってKindle購入でもいい気がします。 リファレンスブック(Tips集みたいな感じ)として手元にあるのが重要なんじゃないですかね。

SIGGRAPH勉強会2017 ~Reflectance & Scattering~

SIGGRAPH勉強会2017

SIGGRAPH勉強会2017に参加してきました。

すいませんでしたああああああ

正直、準備とかちゃんとできなかったし、担当した論文たち難しかったし...

BRDF周りにちゃんと詳しい人からしたら、僕の発表は聞くに耐えられないものだった気もします...

ただ、自分的には state of the art でSIGGRAPHに出てくるようなBRDF周りの研究がどんなものか知る良い機会になりました。

少し補足を付け加えながら今回読んだ論文を振り返ってみます。

(一応、全部をまとめたPDFをSlideshareにもあげてます)

Session Overview

4本ダウンロードしてざっと見た時に、Microfacetがめっちゃ出てきたのが個人的には驚きました。 そんなにMicrofacetがホットなんか!!って感じで。

毛皮のやつは最新のCG研究感あるなぁ、と

あと、「Diffraction = 回折」。これを何度準備中に訳したか...笑

A Practical Extension to Microfacet Theory for the Modeling of Varying Iridescence

油とかグロスとか塗ってあるものって、虹色っぽく色の反射が起きるじゃないですか。 それを実現するためにMicrofacet理論の拡張したよ、っていう論文です。 MicrofacetベースのBRDFモデルとしては、Cook-Torranceが最古参って感じで超有名ですけど、

この中のFはフレネル項で、フレネルの式に基づく反射率に関する項です。 こいつを、エアリー項に置き換えたったで、というのです。

エアリー関数

エアリー項の中身の、スペクトル積分の式はよく理解できてません...

結果を出力するのに、

  • BRDFExplorer (by Disney) + GGX分布
  • Gratin + Ward分布

を利用したそうです。

GGXについては正直よくわかってなくて、Qiitaの記事で見たことあったので名前自体は覚えていた程度でした...

脱・完全鏡面反射~GGXについて調べてみた~

1975年にTrowbridge, Reitzが導出した分布関数で、GGXという名前は2013年にWalterがこの分布を独立して導いた際につけた名前のようです。

Gratinもこの論文読むまで知らなかったです。

Gratin 公式ページ

ソフトウェアみたいで、まぁレンダリングできるってことでしょう。

Ward分布は未だによくわかってないですが、BRDFでWardモデルとか出てきたしそのノリでしょ、ってことで勝手に飛ばしてしまってます...

まぁ、Limitationとかは書いた通りで、この論文の前提として油とかグロスみたいな「誘電体の厚さは一定」としてるから、そうじゃないのは厳しいよね、とかそういった話です。

A Two-Scale Microfacet Reflectance Model Combining Reflection and Diraction

回折効果の表現に2つのMicrofacetモデル化したの使ってやったったぜ、っていう論文です。 回折って「対象となる物体の大きさに対して光の波長が無視できなくなった時に、顕著に表れる」らしいんで、それを表現するには「波長と同程度のサイズのMicrofacetを想定してやる必要がある」ということです。

既存のMicrofacetってそこまで細かくなかったんだー、ってのが驚きでしたが、 そもそも全部幾何光学で扱えてる時点で、波としての光を考えてないわけですよね。

だから、当たり前っちゃ当たり前ですね...

僕が個人的にMicrofacetの好きなところは、確率関数的に物体表面のザラザラを表現しちゃえ、ってとこです。 なんとも人間的な解決策。確率関数で解決とか、もうまじ最適化問題感。

そんで、その波長と同程度のサイズのMicrofacetに適用する数式があるわけですが、、よくわかんなかったっす涙

ほんと、すみません...

多層モデルと組み合わせられるよ、って。 各層にこのモデルを適用するってことだろうなぁ(小並感)

Practical acquisition and rendering of diffraction effects in surface reflectance

Stamのモデル、って初めて聞きました。

ポイントは3つで、

データ駆動型のレンダリング手法の提案 回折効果の直接測定 ハイライトのボケ画像を利用した回折格子を測定する方法

です。

研究室のメンバーが "Bokeh" って言葉を論文で使いたい、みたいな話をしてたのを見たことあったんですけど、 "Bokeh" ってちゃんと使われてる用語だったんですね... 知らなかったです...

Limitationとしては、表面の回折のレンダリングと測定だから、多層的なものとか複雑なのはあかんで、って言いつつ、 でも、大概は表面の回折だから、大概のものをカバーできてるこの論文はえらいんやで、って筆者たちは言ってました。

正直、"Bokeh"画像からなんで/どうやってあの回折格子画像を抽出するんだ、ってのがよくわかんなかったし、回折格子って?という感が...

An Efficient and Practical Near and Far Field Fur Reflectance Model

毛皮のレンダリングに関する論文です。 一番最新のCG感のある論文だったかもしれません。

でも読んでみると、割と偉大だったのは2015年のYanさんたちの論文だったそうで。

Yanさんたちが、毛髪と毛皮繊維には違いがあって、ダブルシリンダーモデルで近似できるようにした、っていうのを更に改良したのがこの論文みたいです。

Yanさんたちは、シリンダーから光が屈折して抜けていったりする時に拡散するようなモデルにはしてなかったけど、そこで拡散するようにしてパラメータ数を5つにしたり、とか。

遠距離から見たレンダリングと近距離から見たレンダリングをスムーズに行き来できるような、統合的なレンダリングスキーム考えたよ、とか。

もう、ほへー、ってずっとなってました。 てか時間なくて、十分に読み込めなかったです。すみません、本当に。

もう、語れることはありません...

最後に

BRDFはやばみ。

そして、光学の勉強にそろそろ再チャレンジしてもいい頃かな、と。

山田孝之のカンヌ映画祭 〜企画を立てるとはこういうことだ〜

Netflixでたまたま見かけた山田孝之のカンヌ映画祭

山田孝之のカンヌ映画祭 (Amazon Prime Video)

最初に知ったのは実はもっと前だった

山田孝之が歌うまい、という話題に乗って流れてきたこの曲が『山田孝之のカンヌ映画祭』のOP曲だったのだ

でも不思議と、これを見た時には本編を見ようとは思わなかった

なぜか

それは、山下監督・松江監督の作品だと知らなかったからだ

山田孝之・山下/松江監督のタッグは今回が初めてのことではない。2回目である

前作山田孝之東京都北区赤羽

山田孝之の東京都北区赤羽 (Amazon Prime Video)

Amazon Primeで初めて見た時の衝撃は忘れられない

あの味わいをもう一度体験できるのか

そう知ってしまっては見ないではいられない

だから、『山田孝之のカンヌ映画祭』を見たのであった

※以下、ネタバレを含みます ※ただネタバレがあっても、今作の重要なポイントではないとも思っています

概要

今回の作品は山田孝之カンヌ映画祭を目指す」という企画のドキュメンタリードラマである

「なんだ。ただの企画ものか」と見くびってもらっては困る。 企画を出したのは監督陣ではない。 山田孝之本人が「カンヌ映画祭の賞を獲る」といい、そのために山下監督を引っ張り出してきた様子をドキュメントとして追ったドラマなのだ。

色々とおかしい

「役者」が「カンヌ映画祭の賞を獲る」ために「映画を作る」のだ

普通ではない

そしてもう一つ。これは「ドキュメンタリー」なのだ。 予定調和のない、着地の見えぬまま撮影していくパターンなのだ。

しかしあえてそこにドラマという言葉が付け加わっている。 これは僕が付け加えたわけではなく、山下/松江監督が自分たちの作品を説明するために作った造語だ。

あれは「フェイク」ではなく「ドキュメンタリー」だと思っていて、しかし『情熱大陸』のような番組と同じかというと、また違う。

そう。起きている事実は全て現実のもの。 しかし『情熱大陸』とは違う。そこには明らかに「起承転結」があるのだ。

現実は小説より奇なり

という言葉がある。僕はこの言葉が大好きだ。フィクションよりノンフィクションの方がドラマチックだと思っている。

下手な小説なんかより自分の人生の方がよっぽど面白いとさえ思っている。

だから、この「ドキュメンタリードラマ」というのはたまらない。

僕たちの現実が、本当に刺激的でドラマチックだということを教えてくれるから。

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企画を立てるとは

※ネタバレします

さて、この記事の題名にまつわることにもそろそろ触れていこう。

「企画を立てるとはこういうことだ」

と銘打った。

それは、山田孝之が企画を立て最終的に失敗していく過程が、企画を立てる時の典型的な失敗例として超生々しく描かれているためである。

事の顛末をざっくりとだけ書いておこう。

  1. 山田孝之カンヌ映画祭で賞を獲るための作品作りをしたい、と企画を立てる
  2. 山下監督を監督とし、山田孝之はプロデューサーとして作品作りに参加。芦田愛菜を主演に立てる
  3. パイロットビデオを作成。大手の映画配給会社に予算採りに動く(失敗)
  4. ひょんなツテを利用して、予算を確保
  5. カンヌに行って雰囲気を知る。その前後でパイロットビデオを見せて、フィードバックをもらう
  6. カンヌ映画祭で賞を実際に獲った日本人監督の元を訪れる
  7. その監督に「賞を獲ることを出発点にすることへの違和感」をストレートに指摘される
  8. しかし、自分たちを信じ撮影へと入っていこうとする
  9. 予算を含め様々な問題が重なる。しかし、山田孝之は自分のやり方を貫こうとする
  10. 破綻

これを見ただけでも、胃が痛くなる思いである。

自分で企画を立てたことがある人間だったら、この辛さは確実にわかるだろう。

僕も結局完遂できなかったが、企画を立ち上げようとし、完全に失敗したことがある。

この失敗劇が、密着ドキュメンタリーとして、起承転結をもって、繰り広げられていくのだ。

山田孝之の何がいけなかったのか

僕も大層なことを言えるような人間ではない。 きちんと企画を立てて成功させたことさえない、脆弱な人間だ。

それでも、一度同じような失敗をしたことがあるから、何がダメだったかだけは少しわかる。

山田孝之は明らかに、賞に、そして方法論に執着しすぎてしまっていた

「賞を獲るための方法論は分析すれば出てくるはず。そしてその方法を使えば絶対に獲れる」

これはその業界のことをよくよく知らず、外から見た人がよく思うことである。 僕自身の企画もそんな感じだった。

でも、これはだいたい失敗する。

足元が全く見えていないのだ。

企画を実現させるためには様々なやるべきことがあるが、まず作品のようなモノを作る段階で「いちいち」いろんなことが起きる。 それを想定するためには、業界での経験がどうしても必要だったりするのだ。

山田孝之の場合、役者としての経験がある分、映画の「撮影」や「広報」に関連する部分には明るかったと思われる。 その経験がある分、業界への違和感も持ち合わせ、「こういう問題を解決するような」あるいは「今までの慣習をぶっ飛ばすような」「新しい方法論」を提示することが可能だった。

そして、そのビジョンは正しく、それゆえに人も付いてきた

しかし、映画を作るには「予算を獲る」ことも必要だったし、そもそも撮影の上で「妥協一切なしに」「新しい方法論に固執」することは並みの環境では実現できなかった

これも同じようなことをしようとする時に、長年連れ添ってきたチームがあり、皆阿吽の呼吸がわかっているような中であれば、新たな方法論に固執した上での作品作りもできたかもしれない。

しかし、あくまでもこの企画の出発点は「カンヌ映画祭で賞を獲る」であってしまったのだ。

そこを無くして話を進められなかったのだ。

もうお分かりだろう。

よくある企画の失敗パターンを丁寧に踏んで行ってくれたのだ。

それでも

これは偉大な作品だと思う。

これだけの失敗劇をありのまま提供してくれるなんて、本当にすごいと思う。

僕だったら、失敗をなかったことに、そこまでできなくてもあからさまに残るような形を避けてしまうと思う。

この作品が、ベンチャーを、企画を、何かをこれから立ち上げる人、過去に立ち上げた人全員に届くといいな、と思う。

経営者・本田圭佑の面白さ 〜KEISUKE HONDA CAFE SURVIVE〜

純粋に面白かったので紹介を。

この動画の存在を知ったのは、最初はクラシルの堀江さんが対談してるというのがfacebookのタイムラインで流れてきたことでした。 (でも、それをぱっと見たときは、「へー」としか思わなかったので素通りしてました...)

しかし、その次の日。今度は別の記事がfacebookで流れてきました。

本田圭佑の“らしい”教育論とJへの見解 村井チェアマンと日本の未来を語る

僕は小学校の頃から一応高校まで野球をやっていたこともあり、プロ野球Jリーグの盛り上がりというのを常に比較して見てきたのですが、サッカー日本代表の盛り上がりを含め、日本でのサッカーの盛り上がり(及び野球の盛り下がり)のことがずっと気になっていました。

その中で、現役サッカー選手の中で最も興味のある本田圭佑と、Jリーグの仕掛け役であろうチェアマンの村井満の対談。

これは一度見ておきたい、と思い早速見てみたのですが、これが面白い。

内容としては普通に面白いくらいですが、本田圭佑」という人、「村井満」という人が面白いのです。

それを今日は少し紹介しようと思います。

思考する本田圭佑

インタビューも多く、本田圭佑を知る機会は世の中に溢れていますが、経営者としてや投資家のような目線で話す本田圭佑を見る機会というのはそう多くないです。

まして、単なるインタビューではなく、対等や格上の相手とその手の対談をするというのは、ほぼないのではないでしょうか。

そういう意味で、村井さんと話をする本田圭佑を見るというだけでまず1つの価値があります。

何を思考し、実践しているか、というのを本田圭佑自身のフィルターを通した言葉で聞く。 これがまず第一の面白さです。

ただ、内容としては非常に身体的で、アナログ的で、古典的な話です。 技術畑の人間からすると、あまり新鮮味がある話ではないですが、「明日役に立つことをする」ビジネスの世界では非常に重要な観点であり、サッカーの試合という「現場」で第一線に立ってプレーをし、さらにビジネスの場でも常に「お金」という現物と対峙している人間が話せばこうなることはごくごく当たり前のことです。

Jリーグの仕掛け人・村井さんの重要さ

この対談で、やはり肝となるのは村井満という男の存在です。 冒頭にも書きましたが、Jリーグは盛り上がっていると思います。 日本のスポーツ業界でいえば、JリーグBリーグが伸び率としては二大巨頭になるのではないでしょうか。 (野球は正直衰退しているばかりと思います)

そんなJリーグの立役者である村井さんの視点は興味深いです。 本人が自分のことを「人と接し続ける仕事をしてきた」と語っているように、「人」に対する好奇心とそこからの洞察は興味深いものになっています。

Jリーグのチャンピオンシップの話をとってみても、「選手の成長」「業界全体の盛り上がり」をどうやってシステム的に両立する仕組みを作るか、というところにきちんとフォーカスし、「人が育たなければ持続的成長はない」ということを念頭に置きながら活動しているように見受けられます。

足元を見て、土台を固めながら成長戦略をきちんと描くという点で、村井満本田圭佑は強い共通項があるように感じられました。

教育論

対談の中で、「どうしたら世界で戦える選手を育てられるか」というような話の中から教育論の話に展開していきます。

まぁ、取り立てて目新しいものはないといえばないのですが、

  • 指導者を教育する機関・仕組みを作っている
  • Jリーグのユースは生涯メンターのような役割になり得る(一方、野球は高校生時に高校野球しか場がなく、中学から引き続きで面倒を見てくれる存在・環境がない)

という点が気になりました。

特に、「指導者を教育する」という観点をきちんと持ってJリーグの改革に当たっているのはすごくいいなぁ、と感じるところで、プロ野球もいい加減そういう点からの面白さも出してきてほしいと少し思ったりするところです。

最後に

サッカー業界の話を聞くと、毎回思うのは「どうして野球業界はダメになる一方なんだ」ということです。

まぁ、背景はいくらでもあると思います。

改善策もいくらでもあると思います。

ただ、一番重要なのは「衰退するべくして衰退した」ということでしょう。

幻冬社の見城さんや箕輪さんとキングコングの西野さんの話を聞いていた時に、

「出版社は時代の波で儲かった。バブルみたいなもん。その時のやり方、そのままでやってれば、時代に食われるのは当然。今儲からなくなってるのは当たり前。努力を怠ったのだから当たり前」

という話が出てきましたが、プロ野球もまんまこの話が当てはまるでしょう。

だから、第一線に立って改革しようときちんと動く人が出てきて、表から裏までやっていけば、改革の余地はまだまだあると思います。

そんなことを思わされたり、考えるきっかけになるくらいには、この二人の対談が刺激的でありました。

【Computer Graphics】BRDFの始め方

最近BRDFについて勉強を進めてきているのですが、より一層Computer Graphics(以下CG)界の人にご指導・ご鞭撻いただきたいと思っているので、自分の知識を整理してちゃんとアーカイブして分野に少しでも貢献していこうと勝手に思っています。

Computer Graphicsをどうやって勉強していったか

まずそもそもBRDFを勉強する以前にCG自体を勉強しないと話にならなかったです。

ただ、CGをまずやろう、となった時に大概OpenGLから話が始まったりします。 床井先生の資料はよく出てきますし、わかりやすいです。

GLFW による OpenGL 入門

でも、僕がまず知りたいのはCGの概論・理論的なところの土台をしっかりとしたいわけです。 Viewとかの話をいきなり実装ベースで語られる前に、全体的な概要を掴みたいわけです。

そこでまず使ったのがこちら。

筑波大学のCG関係の授業でもよく出てくる本です。 CGに全く触れたことがなくて、初心者の状態からでも入りやすい本になっています。 一から全て書いてくれてるので、まず一冊読むとCGの世界観がわかってきます(そこそこ新しい手法も載っています)。

そして、ここからもう少し詳細な話を聞きたいとなると、こちらのリンク先にある資料が役に立ちます。

MIT Open Lecture

MIT Open Lectureの資料がズラーっと並んでいます。 もちろん最初の本と被っている部分も多いですが、一歩深い話にまで踏み込んでいます。 これを読むことで、より理解が進むのは間違いありません。

この2つが分野全体を網羅しながら勉強できる参考資料となっていて、そこに補足する形でいくつかのサイトや資料を紹介します。

『THE COMPREHENSIVE PBR GUIDE Volume 1: The Theory of PBR by Allegorithmic』私家訳版

『THE COMPREHENSIVE PBR GUIDE – Vol. 2: Practical guidelines for creating PBR textures 』私家訳版

2017年度 東京大学理学部 コンピュータグラフィクス論

どこかの海外の大学の講義資料

最新の手法やTipsの話をせずともこれだけの資料が出て来るわけです。 Computer Graphicsの分野がいかに広範なものか理解できると思います。 ちなみに今回は入門に近い分野のみを扱うので、最新の話はしません。

BRDFとは何か

さて、前章であげた資料を読んでいただいた暁には、Computer Graphicsについて基礎的な理解が進んだことでしょう。 次に、BRDFとは何か、という話をしていきたいのですが、これは色んなリンク先を読んでいくことで徐々にわかっていくことだと思います。 一応、僕の方でも書きますが、併記するリンク先を色々と読んでいくことが重要です。

BRDF = Bidirectional Reflectance Distribution Function

日本語でいうと双方向反射率分布関数

この日本語に全てが詰まっています 「双方向」であり「反射率」「分布関数」なのです。

「双方向」であるというのは?

光を物体に当てると反射・屈折・透過をします。 そのうち特に反射がここでは重要で、入射光があれば反射光があります。 この2つを入れ替えても同じになる、というのが「双方向」の意味です。

「反射率」の「分布関数」とは?

入射光を反射する時、

  • 鏡面反射
  • 拡散反射

が主な要素ですが、特にこれらの反射がどのような向きに向かってどれくらいの強さで、何色を反射するかというのを分布関数として表現するということです。

向きをあらゆる方向で取らなければいけないのは、ザラザラな表面であればあらゆる角度に光が拡散するのは想像のつきやすい話で、拡散反射の話です。 そして、強さというのは、物体表面でどれくらい光が吸収されるかという話とつながります。 更に、というのは、黒の物体や赤の物体のように、物体は波長ごとに吸収率が違うことからもわかるように、反射する色(波長)も物体によって変わります。 なので、反射率を波長ごとに求めるような(モデル化するような)場合もあるのです。

これらBRDFを理解するのに役立つリンク集

僕はイラストを描くのは苦手なので、図解入りの説明はリンク先に任せます。

BRDF レンダリングの方程式

BRDF,Irradiance,Radianceの定義

基礎からはじめる物理ベースレンダリング

脱・完全鏡面反射~GGXについて調べてみた~

BRDFで外せない論文たち

おそらくReflectance Mapに関する最初の論文がこれです。 Calculating the reflectance map (1979)

A Data-Driven Reflectance Model (2003)

それと、Phongモデルの理解は必須です。 これは論文を読むまで行かなくても、wikipedia等でめちゃくちゃ基礎となる方程式の理解くらいはしておく必要があります。 Phongの反射モデル

An Overview of BRDF Models (2012) これはBRDFのモデルに関して、2012年時点であらゆることをまとめてくれています。

モデルはこのOverviewにたくさん載っていて、更にそれぞれのモデルがどれくらいの近似をできるかというのを調べた論文もあったりします。 Fitting analytical BRDF models to low-resolution measurements of light scattered from relief printing samples (2016)

MERL BRDFについて

さて、BRDFの理論がどんなものかわかってきたところで、実際に値をどうやって使うことができるかを考えていきます。

そもそもBRDFのモデルというのは、現実世界の値への近似です。 Fitting Analytical...の論文なんかは、モデル化したものと実際の測定値の値の差分(Err)を最適化(最小化)する論文なわけですが、それをするためにはBRDFの実際の測定値が必須です。

で、その測定って自分でやるのか、という話ですが、機材を買ったりどこかに外注すれば測れるかもしれませんが、普通、それ用の機械とか持っていません。 そこで、過去に計測してくれたデータベースのデータを利用するのが吉です。 MERL BRDF Database

100種類のMaterialに関して、それぞれのBRDF値が記録されているデータベースとなっています。

http://people.csail.mit.edu/wojciech/BRDFDatabase/code/BRDFRead.cpp というファイルがあり、これをコンパイルして実行することで、binaryデータとして保存されている反射率の値の読み込みができるようになります。

ちなみに、

というコードがあるように、入射光と視点方向のベクトルをそれぞれ用意し、値を少しずつ変化させて行くことで反射の分布の値をそれぞれ取ることができます。 そして、red, green, blueの値がそれぞれあるように、モデルにもよりますが、RGBそれぞれの反射率を分けたり、波長ごとに反射率を分けたり、場合によってはRGBに全て同じ反射率を適応することがあります。

元のコードのままでは読み込み&コンソールへの出力まではできますが、textファイルなどへの保存はできないので、そこら辺は自分でやる必要があります。

BRDFLab

MERL BRDF DatabaseはBRDFに関する論文で引用されることはめちゃくちゃ多く、ここのbinaryデータを利用している論文は数多いのですが、その中でも簡単に試せるソフトウェアを提供してくれている人がいます。

そのソフトウェアがBRDFLabです。

BRDFLab

GPUが搭載されているWindows PCに限定されてしまうのが制約条件ですが、シンプルに使いやすいです。 File > New > Measured から、MERL BRDF Databaseのbinaryファイルを選択して読み込ませることもでき、反射率分布の様子を見ることができます。 ただし、Environment Mapを利用したレンダリングには適用できないようなので、Environment Mapを適用した時のレンダリングを見たい場合は、既に用意されているXMLから読み込んで見る必要があります。

もしくは、pbrt-v3を利用する手もあります(これは別の機会に紹介します)。

最後に

簡単にComuter Graphicsの始め方からBRDFの入門のところまで触れてきました。

ただこれは、あくまでも入門編に過ぎません。

次回以降、もうちょっと詳しく、最新論文のことにも触れながら進めていきたいと思います。

落合陽一の中にアーティストはいるのか

落合陽一 / Yoichi Ochiaiは, 「落合陽一 (+ -)」であるし, Yoichi Ochiaiであるし, 'Ochi + AI'である.

2015年の春, 彼の脳内にのみ在る'現実'が言語化され始め, 今在る現実の根幹を揺さぶりだした.

"全てがComputationalizedされた融合世界で"

'Digital Nature'はもはや顕在化した未来である.

世俗という時代性を持つ存在と接する中で, 彼は肩書きから乖離していった.

それでもその昔, 彼は'Artist'という看板を携えていたと伝え聞く.

残念なことに僕を含む多くの人間は, 彼が時代や世俗との接点を増やし始めてからようやく彼を視認することができるようになった. だから'Artist'としての彼を知らない.

今彼が提示してくれる'Art'だけが唯一その片鱗を僕らに見せてくれる. しかし, そこにはもう「表現」というものが存在していないのだ.

多くの者は問う. 「落合陽一は何者なのか」 と.

彼は答える. 「落合陽一は落合陽一なのだ」 と.

今日は, 多くの人間を魅了し困惑させる落合陽一という存在を, 久しぶりに'Artist'というフィルターを通して観察してみる.

彼がこれからどうしていくか, どうなるのかはわからない.

それでも, 今導き出せる仮説を以って未来を照らしてみたいと思う.

違和感

僕はその日, 3人のおじさんたちと酒を飲んでいた.

1人は, 高校や短大でピアノを教えている教師である. 彼は学芸大を経て, 母校である高校に戻ってきたそうだ. しかし, 学芸大に行ってなければ乞食になっていたかもしれないという. 彼は云う, 「運が良かったのだ」と.

1人は, これも高校で絵画を教えている教師である. 彼は東京藝大の彫刻科を出て, 紆余曲折を経て高校教師を今やっているそうだ. 謙虚すぎる性格を先輩教師に指摘されていた. 彼は云う, 「謙虚すぎるとよく言われます」と.

1人は, 高校でギターを教える変わり者の教師である. 彼は高校卒業後, バイト先での偶然の出会いから音楽の世界に誘われたそうだ. しかし, 生徒の前に立つ時, 昔の話はせず, 肩書きのない1人の人間として対峙していたいらしい. 彼は云う, 「生きるために音楽で食っていくしかなかった」と.

そう. つまり僕はその日, 母校の教師3人と酒を飲んでいたのだ.


「落合さんってどうなの?」 僕が落合研に所属しているという話になった折、彫刻をやってきた先生が僕に質問をしてきた.

「どう, というのはどういうことですか?」 「えっと, つまり... アーティストとしてどういうことを考えているのかなと思って. 作品とかも少ししか知らないんだ. シャボン液に蝶を写すやつだったりとか, 銀の球体が回るやつだったりとか」

「そうですね... 僕の解釈で話しますけど, これは『魔法の世紀』にも書かれている話ですが, 基本的に落合さんは既存の現代アートが活用する『文脈ゲーム』をやめて『原理ゲーム』でやろうという話をしています. 絵画でもなんでもいいですが, 人間の感覚的に感動するアートというものは存在しますよね. その感動こそがやっぱり本来はアートをアート足らしめるものであり, 文脈を一義的に考えることへのカウンターを行っているわけです」

「なるほどね. そうだよね, うん. でも僕が気になるのは, その先に落合さんの個人としての, アーティストとしての表現があるのかっていうところなんだ」


「アートはアーティストから見た世界そのものだ」

という話をメディアアーティストの藤幡正樹さんは話していた. その場には落合さんもいたし, 僕には落合さんがその意見に肯定的なように見えた.

ただ, この言葉では一見すると『時代性』を重んじているもののように見えてしまうかもしれない. しかし, そうではないということを共有しておかねばならない.

「アーティストが見た世界を, 自分という個性, 自分というフィルターを通して歪ませて, それを表現したアウトプット」 というのがもう少し詳しい説明になるかもしれない. つまり, 『時代性』と『偏愛』の共存, そしてそれらが洗練されていることが重要なのである.

『時代性』というのは常に付き纏う話だ. 今の時代のアートを『コンテンポラリーアート』と呼ぶ風潮もあるが, 中世ヨーロッパのアートも, その当時の人々にとっては『コンテンポラリーアート』であった. それゆえに, 全てのアートは『時代性』から完全に脱却することは叶わない.

では, 何がその上で重要になるか, といえば, 時代を超えて人々の心に訴えかける「何か」がそこに宿っているかどうかという点に他ならない.

そしてそれは往々にして, 「アーティスト」という存在そのものである.

ピカソの絵を見たら, その書いてる感じが自分の身体に憑依するんだよ. ミラーニューロンみたいにさ」

藤幡さんの言葉がここでも蘇ってきたものだった.


さて, ここで議題に上がっている話は, 落合さんがアーティストとしての表現を含めているかどうかという話なのである.

「『原理ゲーム』に落とし込んでアートをやろう」 というのは確かに一つの意見表明とも言える. しかし, それは一方で『時代性』に対する単なるカウンターでしかない, と言える側面も持ち合わせているのだ.

しかし, それでも問題はない. あらゆるアートは『時代性』を内包してしまうものなのだ. では何が問題か. 先に藤幡さんの話を参照した時に, 2点が重要であると話した. 『時代性』, そして『偏愛』だ.

「落合陽一のアート作品の中に, 『偏愛』は存在するのか」 と彫刻の高校教師は疑問を持っていたのだ. そして, それはつまり, 『偏愛』がなければアーティスト足り得ないのではないか, とも.

過去

「落合さんの学生の頃の作品って, 今よりもっとアートっぽいよね」 と言っていたのは, 落合研に来ている武蔵美の4年生だった.

確かに, 過去のアート作品を見てみると, その『偏愛』が垣間見える気がする. 落合陽一[wikipedia] 落合陽一の作品 (2010年)

おそらくThe Colloidal Displayが実は最も技術と表現のバランスが取れていた作品だったのではないだろうか. そして, これ以降の主だった作品からは『偏愛』が抜け落ちていき, 『原理ゲーム』を利用した『文脈ゲーム』へのカウンター部分のみが表出した作品になっていっているような気がする.

しかしながら, 重要な事実は, 過去(特に学生時代)において, 落合陽一は『表現(偏愛)』のところまで作品に込めていた, という点である.

それが過去にはできたのに, 今はもうやっていないのだ.

今, そしてこれから

「アーティストとして長い目で見たら, 『時代性』に特化してしまうのは結局マイナスなんじゃないだろうか」

彫刻の先生はどうしても違和感をぬぐいきれないようだ.

「でも, 彼もそんなに馬鹿じゃない. それをわかった上で, 今はそうしているんだろう」 そう補足したのは, 僕にとっての恩師でもあるギターの先生だった.

確かにそうなのだ.

過去の作品を見れば, 『偏愛』を込めてアーティスト足るように動くこともできるはずなのだ. しかし, そうはしていない.

なぜそうしないのだろうか.

それはわからない. ただ, 近くにいて何となく感じるのは, そこに戦略的なものがあるわけではないということ. そして, ビジョンを立てた時から, そっちの方が優先度高くなったんじゃないか, ということだ.

アーティストには色々なタイプがいると思う.

鴨長明」を藤幡さんはアーティストの例として頻繁に出していたが, 鴨長明のように私的な感情を表現として乗せることが得意なアーティストもいれば, 作品等を通して社会を挑発し変容させていくことが得意なアーティストもいるだろう.

落合さんの知識部分のバックグラウンドの広さは多くの人が知るところであるが, それは知的好奇心もまた幅が広いということを意味する. その手の人物であれば, 私的な『偏愛』を表現として顕在化させることだけに活動を抑えきれないのは自明の理ではなかろうか.

'Digital Nature' それは一人の男の中で導かれた新たな自然の摂理である.

その世界観を今, 彼は熱心に社会に実装している最中なのだ.

この活動の影響は, 1アーティストが作品を通して及ぼす影響の範囲とどちらが大きいだろうか.

落合さんはおそらく, 今の活動の方が作品制作より断然影響のあるものだと思っているから, 作品制作への注力度合いを下げているはずである.

だから, こうして世俗の中で, 社会の中で生きているのだ.

......

しかしながら, 将来の話はわからない. CREST 先日選考に通ったCRESTは5年半の研究期間が指定されている. ゆえに, あと数年は少なくとも研究をメインにやっていくことは目に見えている.

だが, そのあとのことは誰も知らない. 本人もきっと知らないことだ.

だから, もしかしたら何年か経った時, 彼は再びアートの世界に全力を注ぐようになるかもしれない.

少なくとも年齢がもっと進んだ時, 落合陽一はきっとアーティストになる. 僕はそう思っている. アートというものだけが, 彼の年齢の積み重ねを肯定してくれる唯一の拠り所になる気がするから.

そんなことを言ってみても, 誰も将来のことはわからない.

彼はただ生きていく. その瞬間, その瞬間を.

あとがき

今回の話は, ほんのさわりに過ぎない. ちょっとした夏の宿題に, 少しだけ手をつけてみたようなものだ.

本当はもっと書きたいことが, 書くべきことが山のようにある. でも, それを書き, 語るのはもう少し後にしたい.

尾原和啓『モチベーション革命』を読んでみて

facebookで回ってきた本がちょっと気になったので読んでみました。 その本というのは、尾原和啓さんの『モチベーション革命』です。

尾原和啓さんのことは名前だけたまに見かけるだけで、正直なにをやっている人なのか知りませんでした。

そして、本を読み終えた現在も「IT分野とかよくわかってる良さげなおっちゃん」という認識しか持てていません...(すみません)

この本を読んでみようと思ったのは、帯に書かれてた落合さんのコメントを見たときでした。

尾原和啓は稀代のサーファーである。 時代の波を使って技を魅せる。 この人、俺より17歳も年上なのに、なんでこんなこと書けるんだろう。 ―落合陽一

要するに、「このおっちゃん、歳の割によくわかってんじゃん」って言ってるようなもんですよね、これ笑

facebookで流れてきた「この本は面白い」っていう真面目なコメントたちと、落合さんのちょっと肩透かしのようなコメントのギャップが気になって、kindle版で購入してみたのです。

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Computer Graphicsから見る 建築/空間/インテリア 論

『建築/空間/インテリア 論』といっても、僕はその分野を大学などで専攻しているわけではありません。

唯一やっていたとすれば、建築の照明デザイン事務所でバイトをしていたくらいです。

今は研究で『空間』を扱う流れでComputer Graphicsをメインに進めています。

「お前なんかが語る資格あるのか」

と、どこかしこで言われそうですが、ちょっとしたきっかけで考える機会を得たので、自分の考えをアウトプットしておこうと思います。

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国立新美術館『安藤忠雄展』で感じた安藤忠雄の信奉心

現在、国立新美術館で開催中の安藤忠雄展 〜挑戦〜』に行ってきました。

恥ずかしながら展示に行くにもかかわらず、僕は安藤忠雄に関する事前知識がほぼありませんでした。 「コンクリートを使ったモダニズム建築の流れの人だろう」くらいにしか思っていませんでした。

しかし実際に行ってみると、

「しんど...」

と思わず呟いてしまうような内容だったのです。 一言で言えば、タイトルにあるように圧倒的な「信奉心」の人だったのです。

それが一体どういうことか。このことについて今日は話ししていきます。

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