技術と表現と

『技術と表現』をメインテーマに据えながら、自分の興味あることを日々綴っていきます

SIGGRAPH勉強会2017 ~Reflectance & Scattering~

SIGGRAPH勉強会2017

SIGGRAPH勉強会2017に参加してきました。

すいませんでしたああああああ

正直、準備とかちゃんとできなかったし、担当した論文たち難しかったし...

BRDF周りにちゃんと詳しい人からしたら、僕の発表は聞くに耐えられないものだった気もします...

ただ、自分的には state of the art でSIGGRAPHに出てくるようなBRDF周りの研究がどんなものか知る良い機会になりました。

少し補足を付け加えながら今回読んだ論文を振り返ってみます。

(一応、全部をまとめたPDFをSlideshareにもあげてます)

Session Overview

4本ダウンロードしてざっと見た時に、Microfacetがめっちゃ出てきたのが個人的には驚きました。 そんなにMicrofacetがホットなんか!!って感じで。

毛皮のやつは最新のCG研究感あるなぁ、と

あと、「Diffraction = 回折」。これを何度準備中に訳したか...笑

A Practical Extension to Microfacet Theory for the Modeling of Varying Iridescence

油とかグロスとか塗ってあるものって、虹色っぽく色の反射が起きるじゃないですか。 それを実現するためにMicrofacet理論の拡張したよ、っていう論文です。 MicrofacetベースのBRDFモデルとしては、Cook-Torranceが最古参って感じで超有名ですけど、

この中のFはフレネル項で、フレネルの式に基づく反射率に関する項です。 こいつを、エアリー項に置き換えたったで、というのです。

エアリー関数

エアリー項の中身の、スペクトル積分の式はよく理解できてません...

結果を出力するのに、

  • BRDFExplorer (by Disney) + GGX分布
  • Gratin + Ward分布

を利用したそうです。

GGXについては正直よくわかってなくて、Qiitaの記事で見たことあったので名前自体は覚えていた程度でした...

脱・完全鏡面反射~GGXについて調べてみた~

1975年にTrowbridge, Reitzが導出した分布関数で、GGXという名前は2013年にWalterがこの分布を独立して導いた際につけた名前のようです。

Gratinもこの論文読むまで知らなかったです。

Gratin 公式ページ

ソフトウェアみたいで、まぁレンダリングできるってことでしょう。

Ward分布は未だによくわかってないですが、BRDFでWardモデルとか出てきたしそのノリでしょ、ってことで勝手に飛ばしてしまってます...

まぁ、Limitationとかは書いた通りで、この論文の前提として油とかグロスみたいな「誘電体の厚さは一定」としてるから、そうじゃないのは厳しいよね、とかそういった話です。

A Two-Scale Microfacet Reflectance Model Combining Reflection and Diraction

回折効果の表現に2つのMicrofacetモデル化したの使ってやったったぜ、っていう論文です。 回折って「対象となる物体の大きさに対して光の波長が無視できなくなった時に、顕著に表れる」らしいんで、それを表現するには「波長と同程度のサイズのMicrofacetを想定してやる必要がある」ということです。

既存のMicrofacetってそこまで細かくなかったんだー、ってのが驚きでしたが、 そもそも全部幾何光学で扱えてる時点で、波としての光を考えてないわけですよね。

だから、当たり前っちゃ当たり前ですね...

僕が個人的にMicrofacetの好きなところは、確率関数的に物体表面のザラザラを表現しちゃえ、ってとこです。 なんとも人間的な解決策。確率関数で解決とか、もうまじ最適化問題感。

そんで、その波長と同程度のサイズのMicrofacetに適用する数式があるわけですが、、よくわかんなかったっす涙

ほんと、すみません...

多層モデルと組み合わせられるよ、って。 各層にこのモデルを適用するってことだろうなぁ(小並感)

Practical acquisition and rendering of diffraction effects in surface reflectance

Stamのモデル、って初めて聞きました。

ポイントは3つで、

データ駆動型のレンダリング手法の提案 回折効果の直接測定 ハイライトのボケ画像を利用した回折格子を測定する方法

です。

研究室のメンバーが "Bokeh" って言葉を論文で使いたい、みたいな話をしてたのを見たことあったんですけど、 "Bokeh" ってちゃんと使われてる用語だったんですね... 知らなかったです...

Limitationとしては、表面の回折のレンダリングと測定だから、多層的なものとか複雑なのはあかんで、って言いつつ、 でも、大概は表面の回折だから、大概のものをカバーできてるこの論文はえらいんやで、って筆者たちは言ってました。

正直、"Bokeh"画像からなんで/どうやってあの回折格子画像を抽出するんだ、ってのがよくわかんなかったし、回折格子って?という感が...

An Efficient and Practical Near and Far Field Fur Reflectance Model

毛皮のレンダリングに関する論文です。 一番最新のCG感のある論文だったかもしれません。

でも読んでみると、割と偉大だったのは2015年のYanさんたちの論文だったそうで。

Yanさんたちが、毛髪と毛皮繊維には違いがあって、ダブルシリンダーモデルで近似できるようにした、っていうのを更に改良したのがこの論文みたいです。

Yanさんたちは、シリンダーから光が屈折して抜けていったりする時に拡散するようなモデルにはしてなかったけど、そこで拡散するようにしてパラメータ数を5つにしたり、とか。

遠距離から見たレンダリングと近距離から見たレンダリングをスムーズに行き来できるような、統合的なレンダリングスキーム考えたよ、とか。

もう、ほへー、ってずっとなってました。 てか時間なくて、十分に読み込めなかったです。すみません、本当に。

もう、語れることはありません...

最後に

BRDFはやばみ。

そして、光学の勉強にそろそろ再チャレンジしてもいい頃かな、と。