技術と表現と

『技術と表現』をメインテーマに据えながら、自分の興味あることを日々綴っていきます

VALUでは何が価値になる? 〜VALUのインセンティブ設計〜

ここ1週間、twitterにもfacebookにも『VALU』のことを書いてばかりです。

https://valu.is/

個人的に一番ワクワクするポイントはfacebookに投稿した通りです。

『By Nameで生きていく時代に』
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そんな折に世の中にぶっとんだサービスが出てきました. 『VALU』です.
https://valu.is/
ラボに入って以来, 多くの話をボスから受けてきましたが, その中の1つに「By Nameで活躍できるように」というものがあります.
これは必ずしもメディアに出ろということではありませんが, 小さな界隈や内輪で有名になるだけじゃなく, 個人評価額の死の谷を越えて, 社会の市場の中でBy Nameで評価される存在になれ, ということを意味してきた, と僕は解釈しています.

そして, 『VALU』というのはまさにその未来を実現するためのど真ん中のサービスです.
今は, 既に有名な人が売れやすいとか, 荒稼ぎをするとか, サービス初期段階(この規模まで来てまだBeta版ですけど)ならではの混乱も見られますが,
本質は他の人も言うように「個人の長期的なクラウドファンディング」です.
そして今無名の人にとって最も重要なことは、「何も無い状態から, 共犯関係をVALURと作って, 一緒に人生を作り上げていく」ことだと思います.

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ただ、このポイントについてラボの先輩と話していた時に、どうしても噛み合わない部分がありました。
その時は、「先輩めっちゃドライだ」と思うばかりだったのですが、先輩から「ここに思考の軸は書いてある」と教わった佐藤航陽さんのブログを読んで、ようやく理解しました。

佐藤 航陽 | 佐藤航陽のブログ

端的に言うと、「VALUのインセンティブ設計」を軸に語っていたのです。
今日はそのことについて少し話していこうと思います。


VALUで上場した人はわかると思いますが、VALUでは最初に自分の「時価総額」が決定します。
これは、twitter, facebook, instagramのフォロワー数などをベースに決まるものです。

f:id:kenta-yam-124:20170716140011p:plain (これは数日前に、自分で分析したものです。田端さんや堀江さんのような古参の人は別として、新規の上場者の初期時価総額が見事にtwitterのフォロワー数と相関しているのがわかります)

そして、自分で「VA発行数」を決定することができ、基本的にはMax分を発行した上で単価をあげていきながら、資金調達をしていく流れになります。

さて、こうしてVAを発行するとどうなるのでしょうか?
今の段階では基本的に爆発的な価格上昇が起こります。
しかしこれは単純な話で、適正価格への調節にすぎません。

ではこの適正価格は何によって決定するのか?
それは、市場全体に流通している金額に依存します。
なので、よく言われる「競合サービスが出てくるとやばい」というのは、そういうことです。

www.ogura.blog

また、VALU自体には何の価値もなく、相対価値によってのみ決まるというのも、この上記のブログに書いてある通りです。
(有名であることがなぜ価値になるのか、とかそこら辺の価格決定に関しては、上記ブログをご参照ください。ここでは省きます)


「優待があるから価値があるんだ」
という人も世の中にはいることでしょう。
しかし、それは世の中に多くいる、優待券大好きおじさんを思い浮かべればスッキリします。
マクドナルドの株主優待でタダで食べれるんだ!」
その株式にいくら使っているのでしょうか?
その優待は株式の金額に見合っているでしょうか?
株価が下がっていれば、全体を見てみればマイナスになっていないでしょうか?

こういう人がいてくれるおかげで(=損を出してくれる人がいるおかげで)成り立っているような部分もあります。


さて、ここで少し買い手と売り手の意識のずれを見てみたいと思います。

売り手は基本的に、「これをやりたいけどお金が必要だから集めたい」というように資金調達をしたいのです。
一方、買い手は「儲けたい」のが基本です。

最初は僕も買い手の気持ちには「応援したい」があると思ったのですが、インセンティブ設計の話と、感情労働市場ゲーミフィケーションの話を見ていくうちに、それは違うと思い始めてきました。

http://www.shayashi.jp/courses/2014/sui5zenki/20140625.html

感情労働市場」と「ゲーミフィケーション」の話はぜひ上記のリンク先を見ていただきたいです。
これは、京大の林教授の授業資料です(再魔術化論のときにもお世話になりました)。

第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第10回 第11回 第12回 第13回 第14回

(これが全授業のリンクなので、もし興味があればお読みください。感情労働市場」バベッジの格差論」は最高に面白いです。)

どういうところがゲーミフィケーション的であり、感情労働市場的なのか、といいますと、
まず買い手の基本にあるのは「儲けたい」という感情です。
この感情を利用して、お金を払わせVAを買わせます。これが感情労働市場的な部分です。

そして次に、「儲ける」システムにゲーム性を取り入れます
株式市場と同じような投資システムです。これによってゲーミフィケーション的な部分が完成します。

ゲーミフィケーションをざっくり説明すると、例えば無人殺人機を飛ばして、一般人に人殺しのゲームをやらせるだけで、実際の人を殺させてしまう、みたいな。
人間の本能に紐付けたゲーム性を利用して、プレイヤーの意図しない成果を引き出すことです。)

VALUにおいては、このゲーミフィケーションの側面をいい方向に利用することで、
買い手は自分が儲けようと努力をし、その結果として買い手の意図とは関係なく売り手(各個人)の資金調達を実現してあげているわけです。


なので、
「VALUはよくわかんないけど、ずる賢いやつが稼いでるだけじゃないか」
とか言ってしまうのは、ゲーミフィケーション要素に恣意性を想像してしまうからだと思われます。

しかしながら、そこには、市場にいる人間の恣意性はありません。
その恣意性は、運営会社の、サービス提供者の恣意性です。
そしてそれは、「各個人が自分のやりたいことをできるように、各自が資金調達できるような世の中にしよう」という本来プラス方向のものなのです。

なので、VALUは非常に上手くインセンティブ設計がなされたプラットフォームになっていると言えます。

競合が出てくると、ミクロ的にはVALU内で暴落が起きるかもしれませんが、社会全体として資金調達の場が広がる一方となり、多くの人にとってレバレッジを効かせるチャンスを獲得できる素晴らしいものだと思います。

valu.is