落合陽一の『魔法使い』論を考える (途中まで)
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落合陽一の『魔法使い』論を考える (途中まで)
前回の記事は、落合さんに発見されるなど、twitter / facebook効果でPV数が結構ありました。
内容的には、コンテンポラリーアートの文脈から、落合さんを紐解くという内容で、
「魔法の世紀」でいうと2~3章の内容に相当する話をしていました。
ただ、あれだけ語ってみても、まだ不足しているなと感じる部分は多々あります。
それは、『メディアアート』そのものをもっと考えてみるという部分です。
前回の記事を読んだ方の中にも同じような感覚を持った方がいるかもしれません。
「なぜメディアを作ることがアートなのか、その根本的な説明がないのではないか」
おっしゃる通りです。
文脈を捨てるという意味では説明できていますが、根本的な説明はできていなかったという自覚があります。
そこで、今回はもっと『メディアアート』自体に踏み込んで考えてみたいと思います。
ちなみに、まだマクルーハンのメディア論の話は出せません。
ちょくちょく読んだりするのですが、きちんと理解できた気がしないので、
今後、文章に落とし込めるよう、精進していきます。
参考になっているもの
今回の記事を考えるきっかけになったのは、
坂根厳夫さんの著書「拡張された次元 ~芸術と科学の相克を超えて~」を読んだことであり、
そしてその本を読むきっかけとなったのは、またしても松岡正剛さんの千夜千冊でした。
(やはり、誰かの主観が入った文章で紹介されると、違って見えてきますよね。
特にその誰かというのが素晴らしい人であればあるほど)
ちなみに、著者の坂根厳夫さんがどういう方か。
プロフィールをあげておきましょう。
坂根厳夫(さかね いつお) SAKANE, Itsuo IAMAS (情報科学芸術大学院大学、国際情報科学芸術アカデミー)名誉学長(2003.4.1. - ) 1930年、青島生まれ。 東京大学建築学科卒、同修士。 1956年、朝日新聞社入社。 佐賀支局、東京本社家庭部、科学部、学芸部記者、同編集委員を経て、1990年定年。 同年4月から1996年3月まで慶応義塾大学環境情報学部教授。 1996年4月から岐阜県立国際情報科学芸術アカデミー学長、 2001年4月から情報科学芸術大学院大学学長を兼務、 2003年3月末同アカデミー及び大学院大学退官。 1970 - 71年ハーヴァード大学ニーマン・フェロー。 新聞記者時代には芸術・科学・技術の境界領域をテーマに取材・執筆、評論活動を行ない、 慶応義塾大学ではサイエンス・アート概論、環境芸術論、マルチメディア・ゼミなどを担当。 IAMASではメディア文化特論、メディア美学を担当。 1976年以降、芸術・科学・技術の境界領域の展覧会企画プロデュースに数多く携わる。 ISAST (国際芸術・科学・技術協会)機関誌『Leonardo』共同編集者(1985 - 1996)同名誉編集委員(1996 - )。
(引用:http://www.iamas.ac.jp/~sakane/profile/index_ja.html)
ジャーナリスト出身にして、SFC創立時の教授・IAMASの初代学長でもあらせられるという、凄い方です。
さて、そんな方が書いた著書「拡張された次元」ですが、
この本は、坂根さんがジャーナリスト時代の1986年に1ヶ月以上にわたって「Art and Science」というテーマで、
朝日新聞に連載したものの再現版になっています。
この1986年という年は、メディアアートの業界では一つターニングポイントと言える年でもあって、
というのも、この年はArs Electronicaが毎年開催に変わった年でもあるからです。
そんなまさにコンピューターテクノロジーの台頭と、それによる周辺事象との様々な軋轢/衝突/和解が発生した時期の文章は、
当時を知らない僕らの世代にとって、貴重な資料と言えるわけです。
(ちなみにゼミで話した時、落合さんも「坂根さんの本いいよね」みたいな感じだったので、
やっぱり坂根さんの話と落合さんの話に通底するものがある、という感覚は間違ってなさそうでした)
映像・スライド資料
また、坂根さんの情報をネットで探していると、
東京藝術大学での講演や、別の大学での講義スライドがあったりしました。
PDF : http://www.sunadaphd.com/presentation/pdf/040326_kickoff_sakane.pdf
講義のほうは、前後半合わせて4,5時間分あるので、
冒頭少し見て、坂根さんがどんな人か掴んだら、あとはスライド資料を読むのがちょうどいいと思います。
『Art and Science』
坂根さんのプロフィール部分にも、
芸術・科学・技術の境界領域
とあるように、一貫してArtとScienceを統合的に思考されている方です。
この点がまさに落合さんの思想と通底する部分です。
特に、坂根さんが語る、Jacob Bronowskiと Jonas Salkの話が好きです。
この両者は、結構前の時代の人と言えますが、
その考えは現代に持ち込んでも、未だに色あせない部分が多々あるように思えます。
(スライドや本の終盤部分を参照)
注目したいポイントたち
坂根さんの話から、いくつか僕が注目したいポイントを挙げていきます。